1 はじめにーこのガイドラインを読んでおくべき人
先日,経済産業省が「AI・データ利用に関する契約ガイドライン」を発表しました。後記のように,「データ編」と「AI編」からなる大作のガイドラインなのですが,
まずはじめに申し上げたいことは,次の項目に心当たりのある方は,本ガイドラインを是非チェックしておいていただきたい,ということです。
ご入用であればセミナーを実施いたしますので,お気軽にお問合せください。
・IT企業の経営者,法務担当者,技術者の方→「データ編」「AI編」の両方
・IT企業にシステム開発等を依頼する方→「データ編」
・秘密保持契約のひな型を探している方→「AI編」の秘密保持契約の箇所
2 全体の構成と特徴
本ガイドラインは,「データ編」と「AI編」の2部構成からなり,それぞれに契約書のひな型がついてます。
「データ編」では,データの取引を伴う契約を①データ提供型,②データ創出型,③データ共用型の3類型に分け,理解に必要な知識と契約書の文例を紹介しています。
「AI編」ではAI理解のための基本的な知識を解説した上で,AIを用いた開発の序盤~終盤まで,開発の各段階に応じた契約書を提唱しています。
実務的に非常に使えるところとしては,「データ編」,「AI編」ともに契約書のひな型を提示してくれている点です。当たり前ですが,非常にできのいいものになっております。
公正取引委員会のチェックも受けているようで,このひな型にそったかたちで契約をすれば,独占禁止法上の問題も回避できるという優れものです。
3 蛇足ーこのガイドラインの来歴と雑感
巷では「第四次産業革命」と呼ばれる,IT業界を中心とした,AIをはじめとする技術革新が起こっています。日経新聞を読んでいても,「AI」の文字を見ない日はないくらいですね。
政府も対応を急いでおり,昨年は内閣府の中にある「新たな情報財検討委員会」が報告書を出しました。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2017/johozai/houkokusho.pdf
この報告書の中に,不正競争防止法の改正とともに,AI関係のガイドラインを出す,ということが盛り込まれています。
この報告を受けて,今年出されたのが本ガイドラインです。IT系の弁護士としては,「待ってました!」という感じです。
ざっと読んでみて,技術革新の起きているこの分野で法律相談を受けるには,
・知的財産法
・プライバシー,個人情報
のみならず,
・独占禁止法
・ITの知識
等,いろいろと複合的な知識が必要になってくるな,と痛感しています。
この機会をあらたなチャンスととらえて,私も精進してく次第です。