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Web広告の品質誤認表示―オリゴ糖100%広告事件・東京地裁令和3年2月9日判決

東京地裁令和3年2月9日判決・裁判所web

【事案の概要】
 Xは,健康補助食品等の販売、製造事業等を目的とする株式会社である。Xは、遅くとも平成24年頃には、「カイテキオリゴ」という名称のオリゴ糖含有食品の販売を開始した。
 Yは、健康食品等の製造、販売等を目的とする株式会社である。Yは、平成26年7月に設立後、Y商品を販売するようになった。Yは、インターネットウェブサイト上に開設したブログに、従業員をして、Y商品について、「≪オリゴ糖100%≫なので妊娠中・産後はもちろん、赤ちゃんにも安心してお使いいただけます」「強みはなんといっても【純粋100%オリゴ糖】」などと記載した。また,グーグルのリスティング広告,及びアフェリエイターを通じて同様の広告をした。しかし,Y商品におけるオリゴ糖の合計の重量比の割合は、53.29%であった。
 XはYに対し,Yの各広告が①品質誤認表示(不競法2条1項20号)及び②信用毀損(不競法2条1項21号)に当たるとして,Y商品の販売差止め及び約11億円の損害賠償を請求した。東京地裁は,①品質誤認は認め(②信用毀損は棄却),1835万7803円の損害賠償を認容(差止は棄却)した。

【判 旨】

 本件表示のうち、「純粋100%オリゴ糖」、「純度100%」、「100%高純度のオリゴ糖」、「100%高純度」の表示は、需要者に対し、Y商品に含まれるオリゴ糖の成分の割合が、100%であるか、少なくともそれに近いものであるとの印象を与えるものであって、Y商品の品質について誤認させるような表示であると認められる。また、…オリゴ糖の健康食品市場における位置付けやY商品の説明に照らしても、本件表示のうち「オリゴ糖100%」、「100%オリゴ糖」、「オリゴ糖 100 パーセント」、「天然由来100%オリゴ糖」という表示も、これと同時に用いられているなどする上記の「純度」に係る表示と併せて読まれるなどして、需要者に対し、Y商品の100%又はそれに近い部分が上記の効能を有する成分であるオリゴ糖で構成されているとの印象を与えるものであって、Y商品の品質について誤認させるような表示であるというべきである。

  他方、本件表示のうち、「濃密な5種のオリゴ糖を独自ブレンドした自然由来100%のはぐくみオリゴ」との記載は、「濃密」については幅がある概念であり、Y商品について濃密と表示することが品質の誤認をさせるような表示と認めるに足りないこと、「自然由来100%」についても、Y商品のオリゴ糖が自然由来でないことを認めるに足りる証拠はないことからも、これが品質を誤認させるような表示であるとまではいえない。

 Yは、自ら…広告等を行った…。また、Y商品は、電子商取引サイトでフロムココロにより販売されているところ、Yとフロムココロの本店所在地は同じであることなどから、そのサイトは実質的にはYの自社の電子商取引サイトということができ、…Yがした広告等の行為といえる…。更に、Yはアフィリエーターに対し、Y商品の説明をサイトで示したり…、文書で配布したりした…。アフィリエーターはYとの契約に基づきYの商品を紹介する者であり、少なくとも、…Y商品の特徴を具体的に記載した文書等をアフィリエーターに渡し、アフィリエーターがY商品についてそれと同趣旨の記載をウェブサイト等でしてY商品を紹介した場合、アフィリエーターのその記載行為は、Yの不正競争の判断においては、Yがアフィリエーターを通じてした広告等の行為というべきであり、その内容に照らし、…Yがした広告等の行為ということができる。

 なお、Yは、Y商品の販売者としてその品質について認識していたというべきであり、その意思に基づいてY商品についてY表示をしていたのであるから、故意により上記の行為を行ったものと認められる。


【コメント】
 ステマランキングサイト事件 (大阪地裁平成31年4月11日判決)に続き,インターネット上の広告について品質誤認表示を認めた裁判例です。同判決,今回の判決,美容クリーム比較サイト事件 と併せ,他社のインターネット上の広告対策に関して判決が出揃ってきました。

ステマランキングサイト事件・大阪地裁平成31年4月11日判決・裁判所web

⇒美容クリーム比較サイト事件・大阪地裁令和2年11月10日判決・裁判所web

 個人的な頭の整理表は次のとおりです。企業がインターネット上の投稿に関して,名誉毀損に基づく請求をするのはハードルが高いのですが(事実ではなく意見に過ぎないといわれることが多いため),不正競争防止法2条1項20号(品質誤認),及び21号(信用毀損,不実告知)で戦うのが実務上のトレンドかなと思います。

事案の概要品質誤認
不競2Ⅰ⑳
信用毀損
不競2Ⅰ㉑
ステマランキングサイト事件
大阪地裁平成31年4月11日判決
競業他社が作成したランキングサイトで下位とされた原告が損害賠償を請求した事例。
ただし,損害論において信用毀損(無形損害)を否定。
美容クリーム比較サイト事件
大阪地裁令和2年11月10日判決
美容クリームの比較サイトにおいて,実際よりも年間購入コースの金額を高く表示され,競業商品よりもコスパが悪いとされた原告が発信者情報開示を請求した事例。
プロ責につき判断せず。

価格の虚偽記載のみ肯定。口コミ部分の信用毀損は否定。
オリゴ糖100%広告事件
東京地裁令和3年2月9日判決
真実とは異なり「オリゴ糖100%」等を表示する主体に対して,競業者が損害賠償等を制空した事例(比較やランキングではない)。
「オリゴ糖100%」等を品質誤認と認定。
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自社商品の説明は,虚偽でも,他社の信用毀損×。
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