エリック・パーカー著,橘玲監訳『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識を科学する」』(飛鳥新社・平成29年)
昔読んで気にいったビジネス本紹介回です。
たとえば,海軍特殊部隊シールズの地獄の訓練,BUD/Sを耐え抜いたジェームズ・ウォーターズにインタビューしたとき,かれはこう語った。
「…これは一種のゲームなんだ。だから勝つためには楽しむこと。それと,つねに大局的な視点で捉えることだ」
…厄介なことも多く,挫折感も味わうゲームは学業や仕事と大差ないのに,どうして人はゲームにワクワクし,仕事はウンザリなのか?
…ゲームは,一連の活動に重ね合わせる枠組みのようなものだ。ただ退屈そうに見えた活動が俄然面白く,やりがいのあるものに思え,ときには病みつきになったりする。
…ストーリーを変えられれば,あなたの行動を変えられるのだ。(121頁から123ぺーじ)
仕事をゲームに見立てるというのは,出口治明先生も『知的生産術』の中で「ロールモデルの上司を意識して,『星取表』をつくった」と述べています(同書155頁)。ビジネスをゲームに例える書籍は多いですね。
岡口基一裁判官も著書の中で「和解はゲーム」と言っておられました(岡口基一,中村真『裁判官!当職そこがしりたかったのです。』〔学陽書房・平成29年〕71頁)。
不肖私も,学生向けの講演では「裁判はカードゲームだよ」と言ってます。
せっかく長い時間を過ごすのです。仕事はゲームとして楽しまなければ損です。
ロバート・フルガムによる1980年の大ベストセラーの題名は,『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(河出書房新社)だった。さあ,ここで幼稚園のころに戻ったつもりで,友情の基本原則をおさらいしてみよう。
…「やあ,君はアイアンマンが好きなの? ぼくも好きなんだよ」
あなたが遊びたいと思っているおもちゃで遊んでいる男の子がいる。その子のところに行って,自己紹介をしよう。誰でも自分と似ている子を友達に選ぶものだ。
正直なところ,この原則は,空恐ろしいほど大人の社会で通用する。…人びとは,魅力的な人のほうが自分と似ていると思い込むからだ(なかなかのナルシストではないか?)
人脈形成について書かれたこと箇所が本書の一番好きな個所です。なんだかおもしろそうなことをしている社長に興味を持って一緒に遊んでもらうと,なぜか顧問先が増えます。なんだかおもしろそうな勉強をしている人の勉強会に参加すると,知識も増えてきました。
異業種交流会で名刺を交換するよりも,おもしろそうなところに足を運ぶと自然と人脈ができ,なぜか仕事にもなるものです。