堀尾の本棚

ムーギー・キム『最強の働き方 世界中の上司に怒ら荒れ,凄すぎる部下・同僚に学んだ』

ムーギー・キム『最強の働き方 世界中の上司に怒ら荒れ,凄すぎる部下・同僚に学んだ』(東洋経済・平成28年)

昔読んで印象に残った本をちらほらご紹介して参ります。

まずは同書の仕事についての記述から。

…「面白い仕事は絶対に上からは降ってこない」というのと,「面白い仕事はやったモノ勝ち」というのは,キャリアを磨くうえで決して忘れてはならない大原則だ。
 決して「好きな仕事だけやれ!」といっているわけではない。むしろ好きな仕事をするというのは,「好きでないがやらなければならない仕事」を完璧にさっさと終えた者だけに与えられる特権である。
…「上から降られる仕事は99%面白くない」「面白い仕事は上司が自分でやるので,まずもって自分にはまわってこない」というのは…職種や業態を超えた普遍の真理である。(176頁から178頁)

 

「あなたは自分の仕事で『エキストラ・ワンマイル』を行ったか」
…「エキストラ・ワンマイル」というのは,私が働いてきた複数の外資系プロフェッショナルファームの社内評価でよく使われた用語である。
 要するに,「普通の人がやるであろう努力の一歩先を行く努力をしたかどうか」「自分の限界を超える圧倒的努力をしているか」という姿勢が問われているのだ。(207頁から208頁)

 これは本当にそう思います。さっさと与えられたタスクをこなして,勉強して,満を持して面白い仕事に取り掛かるのです。

 後半部分は,本当によくいわれることですね。学生時代,私の弁護士ゼミの先生が「遊びも勉強も,背伸びをしないと成長しない」といっていた言葉と同じ文脈です。エキストラ・ワンマイル頑張って,成長を続けたいものです。

「将来予測のほとんどははずれる」と思っておくのが基本であり,賢明な人ほど失敗したときの対応力も立派である。
 彼ら彼女らは,予測が当たるかどうかよりも,予測が間違っていたことが判明した場合に,速やかにその旨を報告し,自らの信頼回復のリカバリーショットを打てるかどうかが重要になることを知っている。
 …人は「だまされた」「まだ何か情報を隠している」と感じるときと,「この人は失敗したが,正直に開示した」と思うときでは,対応の仕方が180度違うものである。(242頁から243頁)

 これは弁護士と依頼者の関係について共感します。
 弁護士の仕事とは,知識を前提としたいわば未来予知です。当然,裁判の過程で相手から新証拠が出てくることもありますし,相手があることですから,予測が外れることもあります。予測の精度を高めるために日ごろから知識をアップデートしておくことは当然として,もし予測が外れたときに正直に謝れるかどうか,本当に大切ですね。自戒の念を込めて引用しておきます。

勝てる分野で勝負する
ー好きでも向いていないことに,人生を賭けない
なぜか,「人生の不得意科目」で生涯にわたって勝負している人が多いのだ。
 「自分の強みを知り,それを最も活かせる仕事を知り,そんな仕事がなければ自分で作り出す」ことが大切だということだ。それでこそ「自分の強みを極める」天職にたどり着ける。
 …自分の仕事を振り返って,自分よりもよくできる人がいくらでもいるようであれば,あまりその職に長居してはいけないということである。

 林修先生の見解と一緒ですね。私も好きなブルーオーシャン戦略です。
 私の弁護士業についていえば,家事事件等は(それなりにできますが)私よりよくできる弁護士がいますから,最近は減らしています(それでも依頼いただけるのであれば喜んでお受けしますが)。

 たとえば部下と食事に行っても,決して部下からのお酌を受けない。それどころか部下に丁寧にビールを注ぎ,お酌もし,食事を取り分け,醤油も小皿に注いであげる。
 …この「部下を尊重する企業文化」は,会社の組織量を強めるうえで強烈なパワーを発揮する。
 …給料の金額だけでなくほかの要素,すなわち「大切にされている」という信頼感で「尊重されている実感(recognition)」を感じてもらい,貢献度を高めるのが上司の腕の見せ所になる。(248頁から249頁)

 

部下の…小さなミスを見逃さない注意力と緊張感は一流の上司の基本である。
「この人にチェックされあら品質は間違いない」と太鼓判を押してもらえるような評判がなければ,いつまでたっても誰管仕事をチェックしてもらう身分から抜け出せないし,誰かの仕事をチェックして品質保証する役割も任されない。(265頁から266頁)

次に,部下について。
私のように学生からいきなり弁護士になった者は,社会人1年目から部下を持つ中間管理職としてデビューします。最初は本当に探り探りっだなぁー。引用箇所は,当たり前の話ですね。

こんな諸々の人間関係のストレスにめげずに明るく前向きに頑張るためには,どうすればいいのか。
の解決策はズバリ,「心のストレス引当金」を積んでおくことである。
… 「どうせ上司の指示の3割は意味がなく,不愉快で腹立たしいものだ」と最初から諦めておく。部下に指示するときも「どうせ部下は指示の3割は突き返してやてくれないか,できても役に立たないひどい仕事だ」とハナから諦めておくのだ。(139頁から140頁)

 最後にストレスについて,これはよくパワハラのセミナーで私が引用しているところです。
 人は他人に期待しちゃうから怒ってしまうのです。だけどそれは甘えでしょう。他人に期待しなければ,腹は立たず,次にどうすればいいか考えられます。「心のストレス引当金」,いい言葉ですね!

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